4作品の振り返りレビュー(『花束みたいな恋をした』『樹海村』『名もなき世界のエンドロール』『おもいで写真』)

花束みたいな恋をした サスペンス映画ファイル

トルテ

秘密結社M・I・A所属の男。
自称スパイらしいが真偽は不明。
調査報告が滞り、焦りをおぼえている。

ミルフィ

秘密結社M・I・A所属の女。
トルテの右腕となる存在。
調査報告が遅れると怖い。

改めて映画調査ファイル区分がこちら

映画調査ファイル区分

S⋯今年最も印象に残った調査

A⋯かなり印象に残った調査

B⋯いってよかったと思えた調査

C⋯可もなく不可もなくな調査

D⋯あまり良くなかった調査

E⋯苦戦を強いられた調査

久々すぎ泣いた

ミルフィ
ミルフィ

言いましたね?『花束みたいな恋をした』『樹海村』『名も無き世界のエンドロール』『おもいで写真』の4つを鑑賞したと⋯⋯。

では時間が経っているとはいえ、『さんかく窓の外側は夜』の調査報告をほっぽりだしたんですからその4つの報告ができないなんて言えませんよねぇ⋯?

トルテ
トルテ

相当怒っているようだ⋯⋯。これは断れないな⋯⋯。

MISSION

4本の映画を軽くまとめろ。

1作品目:坂元脚本の丁寧さに唸らされる。『花束みたいな恋をした』

ミルフィ
ミルフィ

この作品!!菅田将暉さんと有村架純さんがカップルというネームバリューMAXのラブストーリーの作品ですね!プライベートで見ようとおもっていました。

トルテ
トルテ

ミルフィ、この作品はおそらくお前が思うような単純なラブストーリーの話ではなかったぞ。

数々の名作テレビドラマの脚本を手掛けた脚本家・坂元裕二氏が手掛ける初のオリジナル映画脚本

ミルフィ
ミルフィ

え?単純じゃないラブストーリー?

トルテ
トルテ

予告編での2人、絹と麦は楽しそうなカップル生活を送っている様子が伝わる。しかし、今回初のオリジナル映画脚本を手掛ける坂元裕二氏だが、この方は『東京ラブストーリー』や『カルテット』等、様々な名作テレビドラマの脚本を手掛けてきた脚本家だ。

しかし実際に見てみるとポップカルチャー満載の2人の恋愛やそれを踏まえてのエモいセリフ運びなど、サブカル好きにとっては共感しやすい恋愛が描かれつつ、それをうまく利用して変化していく2人の恋愛を描けていたのがかなりの没入感を生み出していた。

更にカルチャーだけでなく、印象に残るシーンやセリフ回しが非常に多く終わった後も日常生活の中でふとした瞬間にその余韻に浸れる場面が出てくる。テレビドラマには疎い自分だが、今回のこの作品を見て坂元裕二脚本のドラマにかなり興味がわいたな。

2作品目:犬鳴村グル―ト降臨Ver.『樹海村』

ミルフィ
ミルフィ

あれ?このポスタービジュアルにタイトルの「村」という表記⋯。もしかして⋯。

トルテ
トルテ

そうだ。あの昨年公開された『犬鳴村』に続く清水崇監督による恐怖村シリーズ第2弾の作品、それが今回鑑賞した『樹海村』だ。

山田杏奈最高の演技。ホラーとしては致命的なまでに怖くない。

ミルフィ
ミルフィ

やはりあのホラー村シリーズの関連作品でしたか。『犬鳴村』に関しては怖いシーンはほとんどないうえ、ストーリーも村の様子が全然なくて退屈な印象の強い作品になっていましたが、今回はそういった部分は改善されていましたでしょうか?

トルテ
トルテ

いや、今回もホラー映画としてはほとんどなかった。だが、いろいろと前作よりも面白いと思った部分もあったのは確かだな。

今回も前作と同様、村に伝わるオブジェクトを中心に巻き起こる怪現象とその真実にスポットを当てているような作品であった。そして今回のオブジェクトは箱。だが、村の恐怖というよりもオブジェクトの怪現象に重点が置かれているため、村で巻き起こる恐怖を見たい人からするとやはり物足りない仕上がりにはなっている。

だが、今回のストーリーの鍵を握る女性「響」を演じた山田杏奈の演技は最高だったな。『哀愁しんでれら』『名も無き世界のエンドロール』等、現在公開中の作品に多数出演している彼女だが、この作品での演技は見事であった。彼女の得体のしれないものに対する恐怖する演技は、恐怖の対象となるものが自分達には見えていないにも関わらず、思わず寒気が走ってしまう見事な演技であったな。
そして今回の作品では「樹」を活用しての恐怖演出があるのだが、これが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でお馴染みのグル―トのように見えて面白かったな。

ホラー作品としての怖さや物語の盛り上がりに欠ける部分は多いものの、それでも役者陣の演技や樹を利用した演出の面白さ等光る部分は「犬鳴村」の時よりもあったように感じる。

3作品目:ラスト20分の真実なんてそんなもん。『名も無き世界のエンドロール』

ミルフィ
ミルフィ

新田真剣佑さんと岩田剛典さんのW主演の映画ですね!

しかしその「ラスト20分の真実にあなたは心を奪われる」といういかにも期待値を煽るような謳い文句はやはり気になりますが。

トルテ
トルテ

その通りだミルフィ。この作品なんだが、比較的面白いにも関わらず惜しく感じる最も大きい要因はこの宣伝のやり方だ。

壮大なプロポーズ大作戦。心は奪われないが伏線がラストを盛り上げてくれる。

今作ではプロポーズ大作戦と称したとある社会を巻き込んでの大きな計画をキダとマコトの2人が進めていくというストーリーなのだが、その真実とやらはミステリーとしての出来は非常に緩くなってしまっている。予告編がやや説明しすぎなことや、序盤での伏線が目に留まりやすいことから真実に対する推測は容易にできてしまい、最後の展開は思っていたよりもインパクトが薄くなってしまっている。

だが、だからといって全く面白くないというわけではない。張っていた伏線が最後の展開の感動をしっかりと増幅させていたよ。やはり急展開をさらっと片づけてしまう部分やミステリーの弱さなど目についてしまう部分はいくつもあったがそれでもヒューマンドラマのジャンルで見るとグッとくる良作に仕上がっていたように思えるな。この作品にも山田杏奈が出ているのだが、樹海村での彼女を知ってしまうとその役の幅広さに唸らされると同時に、この作品での彼女の役回りのインパクトはやや薄くなってしまっていたように思える。

そして1作目でもこの作品でも「押しボタン信号」が効果的に使われている為、その共通点が導くストーリーの違いに着目してみるのも面白いかもな。

4作品目:未熟とはいえやり方がえげつない。『おもいで写眞』

ミルフィ
ミルフィ

これはご老人の遺影写真を「おもいで写眞」と称して撮ることでご老人の方々の心に寄り添い、その写真家の結子も成長していくという作品ですね?予告編を何度かみました!心が温まりそうだなって思いながら!

トルテ
トルテ

うむ。確かに心温まる作品に仕上がってはいる。仕上がっているんだが、どうしても心が痛んでしまうような場面があって個人的には引っかかりが残ってしまう作品になってしまっていたな⋯。

「嘘か眞か」重視するあまり違和感を感じる言動多めの主人公・結子

ミルフィ
ミルフィ

え!?けど、ご老人の方々との間に絆ができていくようなストーリーはハートフルにまとめられると思うのですが⋯!?

トルテ
トルテ

この主人公である結子は「曲がったことが大嫌い」「嘘が大嫌い」な女性だ。そしてその部分を過剰に描いてしまっていることで結子の言動に唖然とさせられる部分がいくつもあった。

嘘が絡んでくるエピソードでの結子は本当に「ろくでなし」と思ってしまうことが多々あった。老人の中には過去にろくでもないことをしでかした人物がいた。そしてその老人に彼女がとった行動は目を疑うようなものであった。正直見ていて「これは仕方がない」と思えるような行動ではなかったな。

愕然とする先述のようなシーンはあれど、やはり老人との交流を通じて主人公並びにその同級生が成長していくストーリーとしてはできているし、彼女たちのやってきた「おもいで写眞」という企画自体は老人のことを思っての企画であるため心もしっかり温まる。悪い作品ではなかったのだが、いかんせん結子の人間性が引っ掛かり続けてしまうのがもったいない。

まとめ

トルテ
トルテ

以上がワンデーフリーパスポートを利用して調査を行なった作品の調査報告だ。

保存ファイルについては

『花束みたいな恋をした』→A

『樹海村』→D~E

『名も無き世界のエンドロール』→C

『おもいで写眞』→D

に保存しておいてくれ。

ミルフィ
ミルフィ

おお!ここにきて久しぶりにAファイルに保存できる作品が!?

トルテ
トルテ

ああ。確かに久しぶりのAファイルだが⋯、まだ報告できていない邦画軍の調査報告はさらにとんでもないことになっているぞ⋯。

NEXT MISSION

今が熱い邦画軍をまとめよ。

コメント

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