(ネタバレなし)既視感はあれど夢中になれるスパイ作品!『ANNA/アナ』鑑賞レビュー

ANNA アクション映画ファイル

最近は映画館に行くことが多すぎて過去の作品にほとんど手を出せずじまい⋯。久しぶりにレンタルショップに行って今年の過去作のDVDを借りることに。ちなみに古い作品であればNetflixやアマゾンプライムなどで見れる作品が多いのでそちらで基本観ています(とはいえ、「いつでも見れるから」という思いが強くて新作を優先させてしまうのですが⋯。)。そして今回借りてきたのがこちら

ANNA


『レオン』で世界的にも有名な監督リュック・ベッソンによる最新作。『レオン』以外の作品をまだ見たことはない状態での鑑賞でしたが、簡単な感想から書きますと「アクションやストーリー、どれもなかなかに魅力的に仕上がった作品だった」といった感じですね。
以下に詳しい感想を記述していこうと思います。

あらすじ

1990年、ソ連の諜報(ちょうほう)機関KGBで国家にとって危険な人物を抹殺するため育成された殺し屋のアナ(サッシャ・ルス)は、モデル、コールガールなど複数の顔を使い分け明晰(めいせき)な頭脳と抜群の身体能力を駆使し、腕利きの暗殺者に成長する。あるとき、CIAのわなにはめられたアナは、捜査官のレナード(キリアン・マーフィ)から信じがたい取引を迫られる。

シネマトゥデイより引用

KGB・CIAで繰り広げられるスパイアクション

この作品ではソ連の諜報機関であるKGBとCIAの二つの組織で繰り広げられるスパイアクションに夢中になれる作品となっております。主にオルガやアレクセイなどKGBの人間とアナとのストーリー展開が多いものの、後半ではCIAも介入してきて展開がどんどんひっくり返ってきます。

そして、そんなひっくり返り続けるストーリーでさらに面白いのが直線的に進まない時系列です。この作品は突然何の前触れもなく予想外のことが起こるのですが、それを予想外で終わらせるのではなく時系列を戻すことで論理的にその因果関係に至った経緯をしっかりと補完しており、違和感のないストーリー運びを実現していました。ただやはりその数の多さからくどさを感じる人もいるようですが、自分はこれがあって初めて面白いっストーリー運びを実現できたと思っているのでこの演出は肯定派です。

自由を求める女性、アナの人生にフォーカスを当てたストーリー

今回の主人公はアナという女性。リュック・ベッソンの作品では強くカッコいい女性を描きたがる傾向にあるという話は聞いたことがありますが今回の作品でもばっちりその傾向は反映されていました。アナは優れた頭脳と精神力、そして内包している怒りというあらゆる素質からアレクセイにその才能を見込まれてKGBへ勧誘されました。しかし、ここでアナというキャラのストーリーでの目的がわかります。

このときアナはクズ男と一緒に住んでおり、拾われた恩もあり行く場所もないために彼の存在に縛られたまま生きてきました。そしてKGBに入った後にも待つのは支配。自由がないということで彼女は命を絶とうとしますが、アレクセイの「自分を信じるんだ」の言葉で自由になるための可能性のあるこの勧誘に乗ることに。
そしてこの決断からこのストーリーは「アナが自由を手に入れる」という目的地に向かって進みだします。

これにより、アナはクズ男との生活やKGBの描写、そしてファッションモデルへの潜入やCIAでのミッション等多くのシーンがありながらも、彼女の目的の軸は変わらない為一貫性のある物語を楽しむことができます。なので作品全体の安定感はなかなか高かったです。

既視感のある世界観や演出。しかし面白い!

この作品の世界観や演出は割と既視感はあります。世界観についても古くから使い古されたスパイ映画にありそうですし、全体的に『レオン』と似た雰囲気を感じることが多かったです。特にアレクセイがアナをKGBに引き入れる構図とかかなり「レオンっぽい!」と思いましたし。

アレクセイ

しかし、そんな既視感のある世界観でも思わず夢中になってしまうのがこの作品のすごいところ。アナの物語の中でアレクセイは言わずもがな、KGBで最初はアナを入れるのに反対していたオルガとアナの心の距離の縮まっていく様子の描き方や、ミラーを登場させてCIAの物語も含めることで単純な物語に仕上げていなかったのはとても印象的です。


特にオルガに関しては最初はあれだけ反対していたにも関わらず、終盤ではアナに対する親心のようなものが芽生えているという部分が個人的に好きなキャラでした。更にアナに関してもその結末ではオルガの最初の教えを実践しての別れを演出する等、お互いをリスペクトしている様子が感じられてこの2人の関係はこの作品の中で最も印象に残ることになりました。

ファッションモデルへの潜入が活かしきれていない感じあり。

ただ、よかった部分ばかりではありません。スパイ映画として既視感あふれるものとなっていたという部分もそうですが、アナのミッションをこなすまでの経緯を描いている部分もややテンポが悪く感じました。そう感じた主な要因はファッションモデルへの潜入という設定ですね。

スパイという陰で暗躍する職業とファッションモデルという表舞台で華やかに活躍する職業のコントラストがこれによって出ていたのは良かったものの、ファッションモデルとして潜入しているシーンにあまり意味を持たされておらず、さらにシーン数もやや多いということがテンポを悪くしてしまったのだと思います。

モード

特に気になったのはモードとアナのラブシーン。同性愛を描いている割にはその点に一切触れずにストーリーが進んでいくため、ひねったキャラ設定の必要性を感じることができなかったこと、そしてストーリー上でラブシーンを描く以外の役割がほとんどないためにそもそもモードというキャラのストーリーでの必要性が薄かったと感じました。

ファッションモデル

ただテンポが気になる要因であったとはいえ、撮影会でアナがブチギレだすシーンは面白かったですね。急にスパイとしての本性が見え隠れしてしまうこのシーンはスパイ映画の緊張感をいい感じにほぐしてくれたと思います。

まとめ

そういった点を総合的にみて今回のこの作品の自分の満足度は
100%中・・・74%
でした!

王道な感じの女スパイ映画でしたが、そこにはしっかり夢中になれる要素がしっかりと盛り込まれていて、既視感を感じながらも楽しめる作品となっていました。
リュック・ベッソン監督の作品としてはあまり満足できない人もいるかもしれないですが、自分は十分に楽しめるエンタメ作品に仕上がっていたように感じます!
ではでは(^^)/

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