(ネタバレなし)新 感染とは別のベクトル『新 感染半島 ファイナル・ステージ』鑑賞レビュー

新 感染半島 アクション映画ファイル

新年劇場鑑賞初映画(2020年映画ランキング完結はもう少々お待ちください。)

トルテ
トルテ

こちらトルテ。ミッションコンプリート。

ミルフィ
ミルフィ

お疲れ様です。今回のミッション内容の正体はなんだったんですか?

MISSION

韓国の作品で、前作がヒットした感染映画を調査せよ

トルテ
トルテ

韓国、前作ヒット、感染映画。

間違いない。これだろう?

新 感染半島 ファイナル・ステージ
ミルフィ
ミルフィ

これは確か⋯『新 感染 ファイナル・エクスプレス』の続編ですね?

トルテ
トルテ

ああ。だが正直これを続編といってしまうと、やや首を傾げたくなる。

ミルフィ
ミルフィ

と、言いますと⋯。何かご不満が?

トルテ
トルテ

確かに不満はあるといえばある。しかし、新 感染というシリーズであるというフィルターを外せばなかなかに面白い作品に仕上がっているのも事実だ。

ミルフィ
ミルフィ

わかりました。では詳しく調査報告をお願いします。

あらすじ

人間を凶暴化させる謎のウイルスが半島を襲ってから4年後。香港に逃げ延びていた元軍人のジョンソクが、ある任務遂行のために半島に戻ってきた。その任務とは、限られた時間内に大金が積まれたトラックをチームで回収し、半島を脱出することだった。トラックを回収し、任務は順調かに思われたが、民兵集団によりジュンソクたちはトラックを奪われてしまう。そんなジュンソクを窮地から救ったのはミンジョン母娘だった。

映画ドットコムより引用
ミルフィ
ミルフィ

簡単な調査によりますと、監督は前作に引き続きヨン・サンホ監督のようですね。第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションである「カンヌレーベル」作品でもあるそうです。
前作『新 感染 ファイナル・エクスプレス』は韓国本土で1100万人以上の観客動員を誇る大ヒット作品となりました。

新 感染のその後の世界を描く。

ミルフィ
ミルフィ

新 感染といえば、韓国の新幹線の中でどんどんと広がっていく感染者たちによるパニックを描いた作品でしたよね?

トルテ
トルテ

ああ。そして今回はそんな前作のパニックが起こった数年後を描いた作品になっている。

『新 感染 ファイナル・エクスプレス』ではそのタイトルの通り「新幹線」と「新 感染」という言葉を掛け合わせたゾンビ化のパンデミックが起こった新幹線の中を描いた作品であった。だからこそこのタイトルは秀逸だと個人的には思っている。

そんな前作では自己利益第一主義の男が感染者によるパニックに遭遇したことで徐々に変わっていく様子がハートフルに描かれていた。また、仕事第一主義であったために息子のことに関してもやや無関心であった部分もこのパニックを通じてそのかけがえなさを実感するという家族愛も描いた秀作であった。そして今回はその事件が起こった後の韓国を舞台に繰り広げられる。

韓国は国としての機能を完全に失い、感染者が巣くう半島となり果ててしまった。そして、そんな韓国での事件から逃れることができた香港に住んでいたジョンソクという男がとある組織からの提案で、ゾンビの蔓延する韓国にある金を運び出すという依頼を引き受けることで物語が始まる。

主人公と悪役はイケメン!軍曹の世紀末感も面白い。

ミルフィ
ミルフィ

ええええ!?誰ですかこのイケメンは!?前作にこんな人いましたっけ!?

トルテ
トルテ

これが今作の主人公であるジョンソクだ。役者はカン・ドンウォンで他にも多くの韓国映画に出演している。ちなみに前作には出ていないので今作が初「新 感染」だ。

前作からの数年後の世界であり、キャラも一新されている。元軍人のジョンソクをはじめ、631部隊の軍人等見慣れない面々がこの作品には多く存在する。特にソ大尉演じるク・ギョファンも悪役でありながら本作ではかなりレベルの高いイケメン具合。正直軍人でありながらこんなにも爽やかさのあるイケメンが多いものなのかと思ってしまうほどだ。

しかし、THE・悪役のようなキャラもこれまた面白い。それがファン軍曹だ。彼はおそらく「軍人といえばどんな見た目を想像するか」と聞かれたときに皆がまっさきに思い浮かべそうなキャラとなっており、強そうながらも序盤でやられそうな悪役感が出ている。だが、やはり新 感染シリーズということだけあってこの序盤で死にそうな悪役ファン軍曹はやや勘の鋭い曲者として描かれている。別の作品だと噛ませ役として死にそうなキャラに魅力を持たせてきたのはなかなか面白いと感じたし、そういったこともあって今作での俺の推しはファン軍曹だ。

新 感染と同じくゾンビ映画でありながら愛もある。

ミルフィ
ミルフィ

前作といえば、ゾンビパニックでのホラー要素やスリルがありながらも、窮地に陥ったことで見えた「愛」を描いている部分も魅力的な作品でしたよね?今回の感染者によって退廃し、人もほとんどいない半島を舞台に、そんな物語は展開できるのでしょうか?

トルテ
トルテ

ああ。今回は前作ほど「愛」を描き切れていない印象は受けるものの、ただ1本の「愛」を軸にストーリーを描いている。

前作ではもうすぐ子が生まれる夫婦や野球部の高校生、仲睦まじい老姉妹や乗客のための決断を迫られる駅員と様々な境遇にある人物が入り乱れての物語であった為、新幹線の中には多くのドラマがあり、愛も要所要所で描かれていた。

だが、今作では感染者の侵食によって閉鎖された半島が舞台となっており、住んでいるのは感染者がいる中を毎日必死で生きているとある家族と631部隊という世紀末のような武装集団くらい。そこに香港から上陸したジョンソク御一行を含めても主要キャラは10人いかない程度かつ、それぞれ境遇もレパートリーが少ない。

だが、今回の作品での「愛」は半島に住んでいる家族と、過去にとある事件で心に傷を負ったジョンソクがメインで描かれており、前作よりも量は確かに少なくなってしまったものの、1本のやや厚みのある「愛」の物語を描くことには成功しており、その点に関しては前作の良さをしっかりと継承していることに安堵したよ。そしてこの家族の愛を通してジョンソクの心境が変わっていくのもよかった。

前作のゾンビパニックから一転。ゾンビサバイバル作品へと昇華。

ミルフィ
ミルフィ

⋯なぜ急にマッ〇マックスの画像を送ってきたんですか?

新 感染なら新 感染の画像を送ってください⋯。

というかそもそもあの作品にこんなシーンってありましたっけ?

トルテ
トルテ

勘違いするな。これは間違いなく『新 感染半島 ファイナル・ステージ』の画像だ。

ミルフィ
ミルフィ

はい!?これのどこが新 感染なんですか!?

トルテ
トルテ

俺も最初は困惑した。しかしこれはまごうことなき新 感染の画像だ。

今作が新 感染であるものの、新 感染として違和感を覚えてしまう最たる理由はこの大胆なジャンルチェンジであろう。前作は新幹線の中でゾンビがどんどん車両や国を侵食していく密室要素ありのゾンビパニック映画となっていたが、今回は打って変わってそんな増えすぎたゾンビを攻撃する攻撃する。もう攻撃が止まらない。前作のバットや素手なんて可愛らしい。銃で撃つ、車で轢く等、完全にゾンビへの反撃するストーリーとなっており、ゾンビパニックではなくゾンビサバイバル作品へと変貌している。

そして、その大胆すぎるジャンル変更がこの作品を最高のエンタメ作品へと昇華している。まず、派手にゾンビをひき散らすカーアクションだ。序盤で繰り広げられるこのカーアクションが爽快のなんの。見ごたえのあるカーアクションに序盤、そして終盤は魅せられる。
また、銃撃戦に関しても『バイオハザード』のようなシューティングゲームの世界に来ているようなスリルと爽快感があり、これもやや少なめであったとはいえ、いい見どころとなっていた。

なので、大幅なジャンル変更をしたものの、この作品は前作とは全く違うベクトルの魅力を持った1作となることができたのではないだろうか?

前作と比べると、ちらほら不満あり。

ミルフィ
ミルフィ

なるほど、前作とは違った方面で勝負を仕掛けてきたということですか。

トルテ
トルテ

ああ。しかし、やはり前作のことを考えるとやや不満も出てきてしまう作品になってしまっているのも事実。

前作の完成度が非常に高かったこともあり、今作に期待していた人はきっと多かっただろう。だが、今回は大胆な変更の弊害も出てしまっている。

まずはキャラパワーだろう。先述したようにこの作品はとある家族とジョンソクにスポットがあてられている。それゆえに他のキャラに関してはやや弱く感じてしまう部分は多かった。前作のようなどのキャラにも魅力がある状況ではなく、特定のキャラに魅力を集約する形となってしまっていたのだ。故にジョンソクの義理のお兄さんや元軍人のおじいさんのキャラが印象に残りづらくなってしまっている。そしてこの2人は物語でも重要な立ち位置なので、そのようなことが起こってしまうと感情移入をしきれず、乗り切れない状況が作られてしまう。そこが惜しいと感じる部分だ。

そして場面設定、こちらは家族とジョンソク、軍曹と義理のお兄さん、ソ大尉の3つのグループに分かれてそれぞれのシーンが描かれていくのだが、そのせいでややスローペースになっているような気がした。ゾンビサバイバルをするにしても、スローペースのストーリーが、肝心のアクションを圧迫してしまっている感じが否めない。

さらに言ってしまうと、この作品では前作で魅力的だった部分と正反対のことをしているように感じてしまったんだ。前作では「パニックが起こる中で少しでも団結して生き残ろうとする人の強さ」という部分が魅力的だったのだが、今作ではむしろ「他者を蹴落そうとする人間」の姿が印象として強く残ってしまった。というのも、631部隊と家族の2組が最初からずっと自分達だけが生き残ろうとしている様子が強かったからだ。

確かに今作では631部隊はいい描かれ方はされていないが、彼らもゾンビパニックで封鎖された半島の被害者であるならば、容赦なく切り捨てるべき存在ではなかったのではないだろうか?それこそ、1度彼らも生き残るための提案をして交渉決裂になるのであれば前作の「人の強さ」をもった家族を演出することができたのだが、あれだと自分達だけで生き残ろうとする自己利益を優先する家族のように見えてしまい、それが個人的に引っかかる。

まとめ

トルテ
トルテ

以上が今回の調査報告だ。不満点を多くあげてしまったかもしれないが、前作と分けて考えればしっかりと良質な仕上がりとなっている。

特にジョンソクはとある場面で一気にキャラクターとしての魅力を爆発させてくるんだが、そのカッコよさはそういった不満点も払しょくしてくれるぐらいだ。

ミルフィ
ミルフィ

なるほど。では、この調査報告はBCのファイルに保存しておきましょうか?

トルテ
トルテ

ああ。いざどちらかと聞かれると非常に悩ましい作品だから、今回は君の裁量に任せることにしよう。

ミルフィ
ミルフィ

わかりました!さ~て、どちらにしましょう♬

NEXT MISSION

7人の男女とスマホの物語の行く末を見届けよ

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